健康を考える上で腸内環境が重要だとの話しは多くの人が耳にしていることでしょう。その通りですね。腸は栄養の消化吸収、免疫、老廃物や有害物質の排泄といったとても重要な機能を担います。免疫細胞の7割が腸に集中しているとも言われ、免疫の最前線を担っているわけです。消化管は外部と接しており、中でも腸管は栄養素を内部(体内)に取り込む機能を担っています。ですから、ここの防衛をしっかりやらないと外敵に容易に侵入されてしまいます。
さて、私たちが食物を食べた時、食物は口腔から食道を通って胃に送られます。胃で最初の消化が行われるわけです。胃酸と消化酵素によって、食物は細かく分解されドロドロの粥状にされます。そして、これが小腸へと運ばれ、更に消化酵素によって細かく分子レベルに分解されます。タンパク質であればアミノ酸に、炭水化物であればブドウ糖に、脂肪であれば脂肪酸にという具合いです。分子レベルに分解されることで、ようやく栄養素として体内に吸収することが出来るのです。この時、活躍するのが消化酵素なわけですが、実は体内の酵素(酵素とは代謝が行われる際の触媒の役割を果たすタンパク質のこと)の8割が消化酵素であり、毎日、膵臓が大量に作っています。糖質を分解する酵素はアミラーゼ、タンパク質はペプチターゼ、脂質はリパーゼと呼ばれ、栄養素毎に専門の消化酵素が使われます。これら、消化酵素の分泌は自律神経が司っており、ストレスを受けたりして自律神経が乱れると消化酵素が上手く分泌出来なくなります。この結果、消化不良が起こり胃腸の調子が悪くなったりするわけです。
特にタンパク質は消化・吸収・代謝は非常に複雑かつ多段階のステップを経るので、より消化が重要になります。タンパク質系の食材は、調理の際に食材を塩麹やパイン、キウイの搾り汁、玉ねぎのすりおろしに漬けると、タンパク質の分解作用が働くので消化を助けてくれます。また、食前に酸っぱいもの摂ることで唾液が分泌され、唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素が消化を助けてくれます。その意味では良く噛んで食べるというのは基本中の基本です。早飯の人は、せっかく食べた食材の栄養素を吸収し損なってしまうので、実にもったいないですね。他にも、大根おろし、パセリ、ミントと一緒に食べる。食事中に大量の水分を摂らないということも大切です。胃酸が薄まってしまいますからね。食事中にお酒をたくさん飲む人は要注意ですぞ。ちなみに、脂肪の消化にはリパーゼという消化酵素が働くわけですが、これが胆汁として脂肪の消化をしてくれるのです。そして、胆汁の材料になるのがLDLコレステロールです。俗に悪玉コレステロールと呼ばれてますが、決して悪玉ではなく、栄養の消化吸収にも重要な働きをしてくれています。ですから、LDLコレステロールが低めの人は脂っこいものがあまり食べられません。コレステロール低下薬を服用している人も同様ですね。
このように、栄養素をきちんと吸収して代謝するためには、その前段として食べ物をしっかり消化することが大事なのです。いくら腸内環境が良くても、その前に食べ物をきちんと消化出来ていなければ意味がないわけです。と言うより、消化がきちんと出来ていないと未消化の食物を腸に送り込むことになるので、腸内環境が悪化します。ですから、腸内環境を良くしたいなら、まずは消化力を上げるべきなのです。胃酸の分泌も消化酵素の分泌も年齢とともに衰えて来ます。歳をとると食が細くなって来るのはこのためでもあります。健康と若さを保つためには、しっかり食べられて消化出来ることが重要ですね。
ちなみに私は食事も結構な量を食べますし、プロテインなどもしっかり摂ってますから、消化にも気を遣ってます。主に糖質の消化を助けるため、エビオスやわかもとを食後に摂っていますし、タンパク質の消化を助けるためにタンパク質消化酵素のサプリも活用しています。おかげで、胃の調子もバッチリです。
と言うことで、腸内環境の話しをする前に、その前段として重要な消化の話しをしました。ようやく次から腸内環境の話しをして行きたいと思います。