腸内環境の話しに行く前に、もう少し消化のお話しを。胃酸や消化酵素の重要性はわかったけど、どうやったらこれを健全化出来るのでしょうか。食後に胃もたれすることが多くて…。と言った声がありました。
歳を取ると胃酸や消化酵素の分泌も衰えて来ます。これを健全化するにはどうしたら良いでしょうか。いつものごとく、シンプルに考えればその材料を補給してあげれば良いと言うことになります。ではその材料とは何でしょうか。これ、実は過去の記事の中でも少し触れています。
まず胃酸ですが、胃酸の主な材料は塩酸です。その塩酸は塩から作られます。簡単に言えば、胃酸の主材料は塩なのです。夏に汗をたくさんかくと体内の塩分が失われがちになり、暑いので水分摂取量も増えますね。これによって体内の塩分濃度が低くなり胃酸の分泌が悪くなったりします。そして食欲が落ちるので、さらに元気が出なくなる。これがいわゆる夏バテなのですが、その原因に塩が関わっているということです。夏でなくても塩分を控えすぎるとこれと同じような状態が起こりますから、適切に塩を摂ることは必要だと言うことです。
次に消化酵素ですが、前の記事でも書いたように、消化酵素は体内で作られる酵素の8割を占めます。とても多くの酵素が消化に使われるわけですが、この酵素の材料は何でしょうか。酵素の材料はタンパク質ですね。タンパク質のお話しのところでも触れましたね。と言うことは、タンパク質をしっかり摂るべきですとなります。
ところが、そもそも消化酵素がしっかり分泌されなくなっていると、タンパク質の消化が上手く出来ません。すると消化酵素も作れません。これ、完全に悪循環ですね。この場合は、消化が比較的容易なプロテインやさらに消化に負担がかからないアミノ酸サプリから少しずつ補給していくと良いでしょう。少しずつ補充していくのです。でも、それすら上手く消化吸収出来ない重度のタンパク質不足の人もいます。この場合は、タンパク質を補充する前に、消化酵素サプリを使ってまず先に消化力を少し上げてあげるところからアプローチし、その後少しずつタンパク質を補充していくと良いでしょう。少し時間はかかりますが、根気強くやりましょう。
次に、塩分やタンパク質がしっかり摂れているのに、消化に不調がある場合は、ヘリコバクターピロリ菌の感染を疑ってみた方がいいかもしれません。感染有無は血液検査でも可能です。日本では、ピロリ菌陽性者の割合は、10~20代は10%程度、50代40%、60代60%とも言われています。中年以降の人は二人に一人くらいの確率でピロリ菌に感染しています。実は、50代の私もその二人のうちの一人でした。
ピロリ菌は胃潰瘍や胃癌の原因になるとも言われますが、それ以前にピロリ菌は胃酸分泌を低下させますし、タンパク質の消化吸収を阻害します。せっかく摂ったタンパク質がきちんと消化吸収出来なくなってしまいます。こうならないためにも、ピロリ菌の検査をして、もし陽性ならば除菌をした方が良いでしょう。除菌は一般に抗生剤を使いますが、ハーブを使う方法もあります。私はハーブで対処しました。
このように消化だけ見てもなかなか奥が深いですね。と言うことで、ようやく次から腸内環境のおはなしに移ります。