タンパク質は私たちの身体のあらゆる器官を組成する元となっています。また、組成するだけでなく、私たちが動いたりするためにも働きます。また体内での代謝を支えたりもしますから、私たちの生命活動そのものを支える物質と言って良いでしょう。そもそも生物はアミノ酸によって誕生したわけですからね。
さて、タンパク質とひと言で言っても、タンパク質にはさまざまな種類があります。大きく括ると、以下のような分類になります。
○構造タンパク
細胞の接着剤として、私たちの身体を形作るタンパク質です。
コラーゲンはこの構造タンパクにあたります。
○収縮タンパク
筋肉を収縮させるタンパク質です。私たちが動けるのはこのおかげです。
○輸送タンパク
ヘモグロビンと呼ばれ、酸素を運搬するタンパク質です。
貧血と言えば鉄不足と考える人が多いですが、鉄をいくら摂っても、タンパク質が足りなければ貧血は改善されません。
○酵素・ホルモン
私たちの体内での代謝に使われる酵素や一部のホルモンもタンパク質から出来ています。
酵素やホルモンの働きによって生命が維持出来ています。
ではここで、タンパク質のはたらきについて、少し意外と思われる例をいくつか挙げてみましょう。
まず、骨です。骨はカルシウムで出来ていると考えている人が多いと思いますが、カルシウムだけでは強い骨は出来ません。心棒にカルシウム・マグネシウム・リンなどが付着して骨を形成しますが、その心棒にあたるのはタンパク質です。ですから、骨にはまずタンパク質です。タンパク質不足では骨がもろくなります。歯茎も弱くなり歯周病に繋がりますから、歯も失うことになってしまいます。
そして、お次は肌です。女性の皆さんはもっとも気になるところでしょうか。皮膚は基本的にコラーゲンによって出来ていますから、やはりベースはタンパク質です。コラーゲンの材料はタンパク質ですからね。そして、肌のみずみずしさと艶が失われると老けて見えるわけですが、このみずみずしさは粘質多糖体によるものです。ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカンなどです。これらがコラーゲン分子にくっつき、さらに水分を含むので、みずみずしさにつながるのです。また、皮膚から硫酸が抜けるとつやや弾力がなくなります。硫酸は含硫アミノ酸。硫黄を含むアミノ酸のことです。やはりタンパク質ですね。含硫アミノ酸は玉子に多く含まれます。
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカンなどは皮膚だけでなく関節の軟骨も同じように構成されていますから、関節(関節痛)にもまずタンパク質ということになります。
そして、髪の毛。髪の毛はガラス管にタンパク質が詰まったような構造です。ガラス管というのはキューティクルです。また、髪の色はメラニンによるものです。キューティクルもメラニンもタンパク質から作られます。歳をとって髪の毛が細くなったり張りがなくなったりして薄毛になるのは、タンパク質不足が招いているので、ワカメではなくタンパク質をしっかり摂りましょう。男性の若ハゲ、これは多分に遺伝子の影響もあるのでタンパク質で防ぐのは難しいですね。でも、タンパク質と亜鉛をしっかり摂ることで幾分かの抵抗は出来るでしょう。
加齢で起こる不具合としては老眼も気になるところですね。老眼は眼のレンズとなる水晶体が固くなることやピント調節をする毛様体筋が上手く機能しなくなることで起こります。水晶体も毛様体筋ももちろんタンパク質で出来ています。
そして、脳です。脳の代謝にもタンパク質(酵素)が必要です。代謝が活発なら頭の回転も早いと言うものです。また、神経の通り道である細管はタンパク質で出来ていますが、脳には特に多く張り巡らされています。タンパク質が十分でなければ神経細管が詰まったり、くびれが出来ます。動脈硬化があればなおさらです。そして、神経細管に詰まりやくびれがあると、神経伝達物質の輸送に支障が起きます。脳の神経細管は様々な迂回路があるので、これですぐに脳の機能がダメになるわけではありません。しかし、迂回路を経由するため、人の名前を思い出すのに時間がかかったりするわけです。と言うことで、脳の神経細管にも代謝にもタンパク質が重要ということです。
これらはほんの一例ですが、加齢とともに顕著になってきますし、多くの人が気にするところじゃないでしょうか。歳を取ると活動量がどうしても減ってきますから、食も細くなって来ます。タンパク質の摂取量もおのずと減って来ます。胃粘膜も消化酵素もタンパク質から出来てますから、タンパク質の摂取が減ることで消化力も落ちさらに小食に、と悪循環になるわけです。
歳をとってもタンパク質をしっかり摂取することはとても大切です。もちろん、タンパク質さえ摂ればそれでOKというほど単純なもんではありませんが、タンパク質がなければ話しになりません。だから、タンパク質が「もっとも大切なもの」なんですね。