ここからようやくミネラルのお話しをしていきます。「ようやく」と書いたのは、ミネラルは五大栄養素のうちの一つですから、本来はもっと早い段階で書くべきものかもしれません。この部屋の記事は、初期の段階でタンパク質、ビタミン、脂質、糖質と解説して来ながらミネラルはスキップしてたんですね。ミネラルはビタミンと同じような働きをするのですから、ビタミンの後に続くのが自然な流れ。それがここまで後になったのには理由もあるのです。

ビタミンは基本的に吸収が容易ですから、解説したことを参考にしっかり摂ることを考えてもらえばいいのですが、ミネラルはそういう訳にはいかないのです。どういうことか?ミネラルは吸収が難しい側面があります。だからと言って、むやみにたくさん摂れば逆にデメリットが生じることもあるので、少しデリケートに扱う必要があるからです。

ミネラルをきちんと吸収して生体利用性を高めるには、腸内環境が整っていることが前提となります。これなくしてミネラルを一生懸命摂ってもあまり効果がありません。なので、腸内環境の話しの後でと考えていたのですが、筋トレやダイエットのお話しに寄り道してしまい、ようやくミネラルのお話しが出来るところまで来たのです。寄り道が長かったですね。笑

さて、ミネラルの吸収に腸内環境が関係するのはどういうことでしょうか。腸内細菌のお話しの中で、腸内細菌は脂肪酸やビタミンなど、私たちにとっての栄養素を産生する役割を担っていると説明しました。ポイントはここにあります。腸内細菌が産生する「短鎖脂肪酸」がその鍵を握ります。ミネラルの吸収を良くするにはこの短鎖脂肪酸が必要になるのです。腸内環境が乱れていて、腸内細菌が十分な短鎖脂肪酸を産生してくれていない状態では、いくら口からミネラルを摂っても腸から体内に吸収されにくいのです。そんなわけで、回り道になりつつも腸内環境のお話しを先に解説したというわけです。

さて、そもそもミネラルとは何でしょうか。ビタミンとは何が違うのでしょうか。まず、ビタミンは有機物、ミネラルは無機物(鉱石・金属)という違いがありますが、これじゃわかりにくいですね。五大栄養素をクルマに例えると、タンパク質はボディ&シャシー、糖質はガソリン、脂質はボディ&シャシーとガソリン、ビタミンはエンジンオイル&スパークプラグのような位置付け。で、ミネラルはと言うと、ボディ&シャシーとエンジンオイル&スパークプラグ。こんな感じでしょうか。

ミネラルがボディ&シャシーに相当するというわかりやすい例は骨ですね。骨は主にタンパク質とミネラル(カルシウム)で出来ています。また、エンジンオイル&スパークプラグというのは、ビタミンと同じような働きであり、代謝には必要不可欠な存在です。代謝において、ビタミンは補酵素、ミネラルは補因子と呼ばれます。ビタミンもミネラルも私たちの体内では作ることが出来ないものなので、外から摂取する必要があります。

現在のところ16種のミネラルが人体に必要だということがわかっています。16種のミネラルにそれぞれの働きがあります。次回以降、個々のミネラルについて解説していきます。ただし、16種全てを解説するのは情報過多になりそうなので、特に重要でその働きを知っておいた方が良いものを抜粋して個別に解説していきたいと思います。