タンパク質やビタミンのはなしを続けてきました。その中で、必ずサプリメントにも触れてきました。食事だけで栄養条件が整うのならそれが理想ですが、これがなかなか難しいという現実があります。このため、サプリに触れる必要があります。例えば、レモン一個分の果汁に含まれるビタミンC量は20mg程度ですから、1日に2,000mgのビタミンCを摂ろうとするとレモン100個分に相当します。
私たちが食べている果物や野菜は、私たちの祖先が樹上生活していた頃のそれと比べると大幅に栄養素の量が大幅に減ってしまっています。野生の品種と農作物の違い、そして化学肥料や農薬、品種改良などを行ってきた結果です。果物や野菜をたくさん食べても、なかなか思うように栄養(特にビタミン)が充足しません。
そんな現代ですから、サプリを活用することも一つの有効な選択肢だと思います。しかし、そんな話しをするとサプリに対して抵抗感を示されることもあります。「サプリなんて人工的で不自然じゃないのか?サプリなんかに頼らず食事から栄養を摂るべきじゃないか?」と。その気持ちはわからなくもないですが、目的は何か?と考えれば、視点も変わって来ます。
私はサプリメントを、目的地に最短で効率よく到着するための手段、文明の利器として捉えています。自然か、不自然か、と言われれば確かに不自然でしょう。でも、そこはポイントではありません。
そもそも今の世の中、ホントに自然なものなんてほとんど口にすることは出来ません。ハウス栽培や品種改良、化学肥料、農薬を使って育てた果実や野菜。成長促進剤や抗生物質を与えて育てた家畜や養殖魚。さらには冷凍や冷蔵、燻製などの保存技術。化学調味料や添加物たっぷりの加工食品。程度の差こそあれ、これらも自然なものではありませんね。
結局は、各々の特徴を知り、メリットとデメリットを天秤にかけ、その時々の選択をするしかないと思います。例えば、冷凍食品や加工食品なども、時間がない時などには便利なものですよね。一方で、これらにはたくさんの添加物や化学調味料が使われています。メリットだけでなくデメリットもあるわけです。このようなメリデメを適切に見極めるリテラシーを持ち、自分できちんと判断できるようにすることが大事だと思います。
情報伝達手段に例えてみると、昔は狼煙、伝書鳩、飛脚などが用いられていましたね。しかし、テクノロジーが発達した現代でこれらの手段を使う人はいません。現代では、電話、メール、LINE、ツイッター、YouTubeなどが当たり前のように使われています。
インターネットも青少年にとっては有害だとの意見もあります。でも、これも使う人のリテラシー次第です。情報伝達という目的に照らせば、効率的に目的を達成出来るなら、これらの手段を使わない手はないでしょう。有害だからと言って、今さら飛脚を頼る手はありませんよね。
サプリも、同じように考えれば良いと私は思います。強い身体を作る、健康な身体を作る、それぞれの目的のために最短で効率的な手段があるのだから、上手に使えば良いと思います。きちんとメリデメを自分で判断した上で。私もそのように判断した上でサプリを使う選択をしています。
ところで、自然ってなんでしょう。本当の自然は過酷で厳しいものです。植物は食べられないように防衛するための植物毒を持っています。アクなどもその一つですね。また、野生の動物はさまざまな細菌やウィルスを持っています。新型コロナウィルスも動物からの感染がきっかけでした。
本当の自然は人間にとって厳しく危険なものです。人間が健康になるような栄養を、わざわざ自然がきちんと揃えて用意くれるようなものではありません。私たちはすでに人工なものに囲まれて暮らしているのです。その中で、少しでも適切なものを選択し、どう賢く生きるか、そんな時代に生きているのだと思います。