今回は花粉症対策のお話しです。花粉症がひどいと、その期間相当な生産性低下を招きますね。日本全体でどれだけの損失になっているのでしょうか。花粉症とおさらば出来たら、相当な経済効果があるでしょうね。
実は私も40歳くらいの時に花粉症デビューしました。そして、その後克服しました。えっ、花粉症って治るの?どうやって治したの?答えが気になるところでしょうが、まずはその前に花粉症のメカニズムから見ていきましょう。
花粉症はアレルギー性疾患の一つです。そして、アレルギー性疾患は免疫症の一種です。リウマチや膠原病なども免疫症から来る疾患で自己免疫異常症と呼ばれています。要するに、自身の免疫系が狂ってしまっている状態ですね。
花粉症は、本来ウィルス等の外敵ではない花粉を外敵と認識して攻撃することで起こります。一方、リウマチや膠原病は、自分の細胞を外敵と認識して自分で攻撃してしまうことで起こります。いずれも免疫系の異常という意味では同じです。
タンパク質が不足するとホルモンの生成にも支障を来します。これによって、ホルモン分泌が狂い、免疫系が狂う原因にもなります。
また、リウマチや膠原病などはタンパク質不足によって、細胞の再合成の際にコーディングエラーが起こり、自己の細胞を本来の形通りに再合成出来なくなることで起こるのではないかと考えられます。元々の自己の細胞と少し違うので、非自己と認識することで自己細胞を攻撃してしまうのです。
糖質の過剰。糖質は血糖値を上昇させ、体内、特に血管内で炎症が起こります。これも免疫系が狂う原因となります。一部の糖質制限論のように糖質は全て悪だと言うつもりはありませんが、過剰な糖質は良くないですね。例えば、朝食にごはんかパンを食べ、昼食は丼ものか麺類、間食に煎餅や甘いもの、夕食もごはんガッツリみたいな日本人的には普通と思われる食事。これ糖質過剰です。
昔は花粉症など無かったという話しも良く聞きますね。昔は土に触れる機会も多く、また衛生状態も今の時代ほど良くなかったので、微生物や細菌を体内に取り込む機会も多くありました。腸内にギョウ虫(寄生虫)がいるなんてことも普通にあった(昭和な人はギョウ虫検査知ってますよね)。
免疫系はこれら外敵を攻撃しながら、それなりのバランスを取っていました。ところが衛生状態が急速に良くなったことで、ギョウ中も体内からいなくなり、攻撃対象がなくなってしまいました。そこで花粉を外敵と捉えて攻撃するようになった。こんなことも原因の一つとされています。
抗ヒスタミン剤という薬がありますね。アレルギー薬として有名です。実は、抗ヒスタミン作用を持つ物質は体内で作られるのですが、その材料が不足しているとうまく作られません。また、ヒスタミンが体内にたくさん溜まり過ぎることでもアレルギーが起きやすくなります。
花粉症が起こるメカニズムを見ていくと、このようにいくつかの原因が考えられます。
花粉症に限らず生活習慣病と呼ばれる病気全般は、根本的に同じところから起きていると考えるべきです。身体にとって必要な栄養素を必要な量、きちんと摂る。必要でない栄養素を過剰に摂らない。そうすれば、パーフェクトコーティングが機能し、恒常性維持機能によって正しい状態=健康な状態に戻って行くのです。人間の身体は良く出来てます。
花粉症も基本的には同じことで、身体を正常な状態に持って行けるように、身体に必要な栄養をきちんと摂ることが、根治のための対策なのです。
・良質なタンパク質をたくさん摂る
・タンパク質の代謝に必要なビタミン類をきちんと摂る
・過剰な糖質は摂らない。特に小麦を始めとした精製糖質
・免疫機能を司る腸内環境を整える
これが基本です。
いま、酷い花粉症に悩んでるならば、身体が本来あるべき状態から乖離しているということです。つまり、マイナス状態にあるわけです。プラマイ0あるいはプラスにある状態を維持、改善するには前述の基本をしっかりやれば良いのですが、マイナスからプラマイ0に持っていくには一時的にビタミンも高容量が必要です。
花粉症とおさらばするためには、高タンパク+糖質オフを前提として、
(1)ビタミンD+ビタミンK
(2)ナイアシン+ビタミンE
これらビタミンの高容量摂取が花粉症には著効します。
高タンパク+糖質オフの理由は、前掲の花粉症のメカニズムを見ればわかりますね。では、ビタミンについてそれぞれ解説します。
(1)ビタミンD+ビタミンK
ビタミン「D3」を1日3万IU。「IU」は国際単位。サプリを用いないと到底摂れない量です。
ビタミンDはホルモンに近い作用を持ち、ホルモンの材料にもなります。その作用は免疫の正常化。つまり、花粉症の根本原因の「免疫異常」を治す作用があります。
ただし、ビタミンDは1日1万IU以上を摂ると、ビタミンKを使い尽くしてしまい、ビタミンKの欠乏症になります。「ビタミンKの欠乏症」=「ビタミンD過剰症」とも取れます。ビタミンDの過剰摂取は良くないと言われますが、ビタミンKを摂れば大丈夫です。ビタミンKが欠乏すると骨からカルシウムが出ていく。すると、
・骨が脆くなったり
・血液中のカルシウムが高くなりすぎたり、
・腎臓でカルシウムが石になって腎臓結石になったりします。
なので、ビタミンDをしっかり摂るならビタミンKもしっかり摂る必要があります。ビタミンKの目安は「K2」で600mcg/日。
ビタミンDを充分に摂ると免疫が正常化し、花粉症の元となるヒスタミンがあまり作られなくなります。
(2)ナイアシン+ビタミンE
ナイアシンはヒスタミンを放出する作用があります。ナイアシンでヒスタミンを出し切ってしまえば、花粉症の元がなくなるので、症状が出なくなるという理屈です。ナイアシンの必要量は最低1000mg/日、著効を期待するなら3000mg/日。
ただし、タンパク質が不足していると、ナイアシンの副作用(ナイアシンフラッシュ)が出やすくなります。また、糖質オフをしていないと、免疫が狂うので、ヒスタミンを出しても、出しても作ってしまってキリがありません。ですから、まずは高タンパク低糖質から始め、ベースを作っておく必要があります。個人差もありますが、1ヶ月ぐらいはベース作りをした方がベターです。
そして、ナイアシンは水溶性ビタミンです。水溶性ビタミンは細胞膜がしっかりしていないと、細胞の中に入れません。このため、細胞膜をしっかりするにビタミンEも併用すると更に効果が上がります。また、細胞膜の材料となるコレステロールも必要です。むやみに薬でコレステロールを下げてはいけない理由がここにもあります。
まとめると、まずは高タンパク・糖質オフを行う。ベースができたら、
(1)ビタミンD+ビタミンK
(2)ナイアシン+ビタミンE
を追加する。これを花粉シーズンの数ヶ月前からしっかりやれば、花粉症に苦しむこともなくなるでしょう。
高タンパク・糖質オフだけでも花粉症が良くなる人もいます。私の友人には花粉症の季節だけ糖質オフで花粉症をやり過ごしてる人もいます。私は高タンパク・糖質オフでかなり症状が軽くなり、(1)(2)の実践で花粉症とはおさらばしました。私の場合は特にビタミンDが著効しました。この方法を実践した友人もほぼ全員が花粉症とおさらばないしは症状が軽くなっています。
しかし、実践にあたっては多くの人にとって糖質オフが一番のハードルになるようです。鼻を取ってしまいたいほど辛いなど、とてもしんどい思いをしていながら糖質オフがネックでやれない人も一定数います。それほど糖質には中毒性があるのですね。
マイナスからプラマイ0に持っていくにはビタミンの必要量も前述の通り高容量になります。でも、一旦プラマイ0まで戻れば(花粉症が治れば)通常量に減らしましょう。糖質も緩やかに減らした状態を維持する程度でいいでしょう。あとは自身の症状と相談しながら調整していけば、花粉症とはおさらばです。