新型コロナが再び感染の勢いを増して来ました。今回は、新型コロナについて、栄養面、特に免疫から見た感染対策を解説してみたいと思います。

マスコミや専門家と呼ばれる人たちは、人との接触を避けよ、マスク、手洗い、消毒をせよといったことしか言いませんが、私は自分が持っている免疫力を落とさないことがもっとも重要であり基本だと思いますけどね。私たちが本来持っている免疫機能はどんなマスクよりも遥かに高性能なのですから。

さて、本題です。まずひと口に免疫と言いますが、大別すると獲得免疫と自然免疫があるのはご存じでしょうか。

獲得免疫とは、一度かかった病気に二度以上かかりにくくなるように、特定の病原体を防御する免疫反応のことです。特定の病原体を専門とするスナイパーみたいなものですね。敵の手配写真を持っていて、敵を的確に判別します。そして、その敵への戦い方もわかっているので、高確率で敵を仕留めることが出来る頼りになるやつです。その一方で、初めての敵だと手配写真も持っていないので、スルーしてしまうこともあります。

このことからわかるように、獲得免疫は後天的なものです。ワクチンはこの免疫反応を利用したものですね。ワクチン自身はスナイパーではなく、スナイパーに手配写真を与えてくれる役割です。ですから、自身が持っているスナイパー(免疫細胞)が頼りないと、たとえ手配写真を与えられても、敵を倒しきれないのです。ワクチンを打っても感染する人はいますからね。

そしてもう一方の、自然免疫はと言うと、こちらは生まれつき備え持っている免疫機構のことで、色んな病原体に対し、マルチに戦える防衛隊です。獲得免疫のスナイパーのように、敵を的確に判別出来るわけではありません。また、その敵への戦い方がわかっているわけではないので、時に防御しきれないこともあります。ただし、相手がどんな病原体であろうと、あの手この手で頑張って防衛してくれるありがたいやつです。

さて、新型コロナですが、これはまだ未知の敵であって、大抵の人は獲得免疫を持っていません。新型コロナに罹患した人は、新型コロナの免疫を獲得しているかもしれませんが、ウィルスはどんどん変性していくので、獲得免疫が効かない可能性もありそうです。ということは、新型コロナに感染していない多くの人が、いま頼りにすべきは自然免疫だと言うことですね。

この自然免疫も、人によって持っている防衛力の強さは違います。強力な防衛隊を持っている人もいれば、とても弱い防衛隊しか持っていない人もいます。これは生まれつきのDNAの違いにもよりますが、その後の栄養状態によっても変わって来ます。風邪やインフルエンザにかかりやすい人とかかりにくい人がいるのもこのためです。また、同じ人でも身体の状態によって免疫レベルは変わって来ます。例えば、とても疲労しているときやストレスを受けている時などは、防衛力が落ちます。このように、防衛力はその時々で変化するわけですが、新型コロナを予防するには、常に出来るだけ強い防衛力を維持しておくことが重要になります。

では、どうしたら自然免疫力を高いレベルで維持出来るのでしょうか。

免疫機能には、好中球やナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれるものがあります。好中球は白血球の一種で、ウィルスを捕食してしまう細胞です。一方、NK細胞はインターフェロンという武器を使ってウィルスを斬り殺してしまう細胞です。これらをしっかり強化してやることが重要です。

そのためには、まずこれらの細胞の主材料となるタンパク質が十分に必要になります。タンパク質不足では、これらの細胞がしっかり作られません。ですから、免疫強化の第一歩は、良質なタンパク質をたっぷり摂ることです。これは大前提となります。次に、このタンパク質を上手く代謝するための補酵素として、ビタミンCの摂取が必要です。ウィルスや病原体に身体がやられそうになるとビタミンCの消費量が大幅に増えることがわかっています。ですから、ビタミンCが不足しないように常にしっかり摂っておきたいわけですし、体調によってはさらに増やすことも必要になります。私は、ちょっと風邪引きそうかなといった予兆がある時は、1~2時間おきに1000mg、1日に10gぐらいを摂ることもありますが、たいていはこれで良くなります。

また、免疫機能を正常化してくれる栄養素として、ビタミンD3も重要です。ビタミンD3は紫外線を浴びると体内で合成されますが、ここのところの長雨で紫外線量がかなり減っています。ですから、多くの人がD3不足になっているものと思われます。食品からの摂取を意識するとともに、わずかな晴れ間があったら陽に当たることを心がけた方が良いですね。

紫外線は活性酸素を生むので浴びすぎは注意ですが、避けすぎもいけません。紫外線を気にするあまり、避けすぎていると免疫力を落とすことになります。今年の梅雨は晴れ間が少ないですが、この時期にコロナが増えて来たことと何らかの相関関係があるかもしれません。この先、梅雨明けしたら、コロナの感染拡大が鈍るかもしれませんね。ついでに余談ですが、夜の街でホストに感染者が多いのも、彼らは昼夜逆転生活になっていて、太陽を浴びる機会が極端に少ないということが影響しているかもしれません。

もう一つ、免疫力という点では、亜鉛にも触れておきたいと思います。亜鉛は、牡蠣に多く含まれていることが有名ですが、色んな食材に多く含まれている栄養素ではありません。従って、多くの人は亜鉛の摂取が不足気味だと言われています。亜鉛は免疫細胞のシグナル伝達役を果たすため、これが不足すると免疫細胞どうしがうまく対話出来ません。防衛隊が一致団結して外敵に立ち向かえなくなってしまうのです。

ちなみに、新型コロナは短期間のうちに急激に症状が悪化することがあるようです。志村けんさんがそうでしたね。これはサイトカインストーム(免疫の暴走と訳されることが多い)によるものと言われます。サイトカインとは、上述のシグナル伝達物質を指します。すなわち、サイトカインストームとは免疫細胞そのものが暴走するというより、シグナル伝達物質が狂い、免疫細胞が制御不能に陥っていることで起きると考えられます。

と言うことで、ここまでをまとめると、
・良質なタンパク質をしっかり摂る
・ビタミンCをしっかり摂る
・ビタミンD3をしっかり摂る(日光を適度に浴びる)
・亜鉛をしっかり摂る
となります。もちろんこれが全てではないですが、色々書き出すとキリがないので、主要なポイントだけにしておきます。私は、食事だけでは常に充分量を摂れないと考えているので、いずれもサプリを併用しています。4月ごろからビタミンCが世界的に品薄になっていましたし、亜鉛も認知され始めたので品薄になりつつあります。先日も、亜鉛を補充しようとしたら、軒並み品切れになっていて驚きました。

もちろん、栄養摂取以外でも、
・睡眠をしっかり摂る
・疲労を溜めない
・ストレスを溜めない
といったことも重要です。疲労が溜まっているということは、疲労回復に栄養素が使われてしまって、免疫力確保のための栄養素が不足します。同様に、ストレスホルモンであるコルチゾルが分泌されるとビタミン類が大量に消費されて、やはり栄養欠乏になります。逆に、笑うと免疫力が上がることも証明されています。ガンの治療なんかで活用されていますね。

ということで、皆さん、栄養をしっかり摂り、後ろ向きにネガティブなことは考えないで、前を向いて笑って生きましょう。