人間の身体にはおよそ37兆個もの細胞があると言われています。そして、これらは毎日刻一刻と壊され、そして作り直されています。人間の身体は一旦稼働停止してメンテする訳には行かないので、稼働させながら順番に少しづつメンテしているのです。

例えば、商業施設のビルなどは、営業していない時間帯に補修をしています。時には一定期間クローズして補修もしますよね。でも、これが24時間365日営業のビルだったら補修もなかなか難しい。毎日少しづつ部分補修しながら営業しつづけなければなりません。人間の身体はまさにこんな感じなのです。眠っている時だって、身体の各器官は動き続けていますから。

人間の細胞が入れ替わる時間(これを代謝回転もしくはターンオーバーと呼びます)は、器官によってまちまち。もっとも速いのが胃粘膜で、3日。骨は2~3年で全て入れ替わると言われています。女性の皆さんは、じゃ肌は?って気になりますね。肌は20~60日ほど。

歳を取るほどターンオーバーは遅くなります。でも、遅くなれど死ぬまでターンオーバーし続けますから安心して下さい。逆に言えば、ターンオーバーが止まった時が死ということです。心肺停止や瞳孔拡大、脳死などを死とするのは、社会的な死亡の定義です。社会的にはこれが便利だからです。でも、生物としての死は、細胞のターンオーバーが停止した時です。

毎日鏡を見ても、そこには前日と同じ自分が映っていますね。でも、厳密には前日とは違う自分なんです。10年も経てば、確実に変化がわかります。私たちの身体は常に壊されては作り直されています。子供の場合はこれを成長と呼ぶわけですが、大人になるとこれが老化という呼び名に変わります。

流れるプールを想像してみて下さい。常に水は流れているけど、プールの姿は一見するといつも同じです。でも、ある瞬間、プールの断面を切り取ってみたらそこにある水の分子は常に違います。不純物は濾過装置で濾過され、そして新しい水も加えられながら、流れていきます。濾過装置の性能が良くて新しい水がどんどん加えられれば、プールの水は清らかに流れます。

でも、長く使っていれば濾過装置の性能も落ちてくるでしょう。そこに、新しい水がきちんと加えられなかったらどうなるでしょう。水の流れもゆっくりになるでしょう。そうなれば水もだんだん澱んで濁って来ます。新しい水が十分に加えられなければ水位も段々下がって来ます。元のプールとは随分姿も変わっていることでしょう。これが老化ということです。そして、ついには水の流れも止まる。これが生物の死です。

細胞を作り直すプロセスをコーディングと呼びます。ここが美と健康にはとっても大事なポイントであり、基本原理です。このコーディングが完ぺきに行われれば、理論上は老化が防げることになります。プールの濾過装置が万全で新しい水も加えられ、プールは常にキレイな水が循環している状態です。

新しい水が加えられない状態、これは身体に必要な栄養がきちんと補給されていない状態です。では、濾過装置の性能が衰える要素はなんでしょう。それは酸化と糖化です。身体が錆びながら焦げていくような感じです。酸化と糖化によって、細胞やDNAが変性していくことで、老化していくのです。これが加速すると病気にもなります。

さて、こうして老化の仕組みが何となくイメージ出来たところで、どうにかこれを少しでも遅らせられないかと誰しも思いますね。それが出来たら嬉しいですよね。これがパーフェクトコーディングという概念です。プールの濾過装置が万全で新しい水も十分に加えられてる状態。パーフェクトコーディングに少しでも近づけられれば、老化を止められないまでも遅らせることは可能ということです。

DNAにはカラダの設計図が書かれています。この設計図を元に日々、カラダは作り直されてます。この時、古い材料をリサイクルしつつ、新しい材料も使って作り直します。でも、新しい材料が十分に無く、古い材料ばかりで作り直そうとすると、設計図通りに作り直せない事態が起きます。これがコーディングエラーです。

コーディングエラーが起きないようにすること、すなわちパーフェクトコーディングをするには、新たに品質の良い材料を必要な量だけ、きちんと補給してあげることが重要です。

さて、ここで言う材料とは何でしょう?
5大栄養素で分類すれば、材料となるのは主にタンパク質、そして脂質とミネラルです。筋肉だけでなく、内臓も骨も皮膚も目も髪の毛も、、、あらゆる部位の主な材料はタンパク質です。そして、細胞一つ一つを包む膜や脳みそなどは脂質が材料になります。ミネラルの代表例は骨ですね。残念ながら糖質はカラダの材料にはなりません。

という事で、パーフェクトコーディングに必要な材料はタンパク質と脂質とミネラルということになります。これらが足りないとコーディングエラー→細胞が劣化→老化となります。そして、とにかく意識して摂るべきはタンパク質です。

タンパク質さえ摂れば大丈夫というほど単純な話しではないですが、ここがまずは基本のキです。そして気をつけるべきはタンパク質の量と質。特に量です。なぜなら、日本人は多くの人がタンパク質の摂取量が不足しているからです。